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アチャラナータ 初登

by yudaisuzuki

大きな駐車場から目を凝らしてゆっくりと不動岩を眺めると、薄っすらと見える細いクラックが存在する。

不動岩の一番綺麗なフェース面を真っ直ぐと切り裂くフィンガークラック、アチャラナータである。この存在はDaizo氏が9年ほど前に発見し、不動岩に君臨する王=「不動明王」アチャラナータ(acalanātha)と命名する。梵名の「アチャラ」は「動かない」、「ナータ」は「守護者」を意味し、全体としては「揺るぎなき守護者」の意味である。少々覚えにくいが、何とも絶妙なネーミングセンスではないだろうか。

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ルートは11a程度のシンハンド10mから始まり、掛かりの良いフィンガーでレストをした後、10m以上の一切休めない長い核心部に突入、0.3サイズのクラックをレイバックしたり、際どいジャミングをしたり、色々なムーブを駆使して小テラスに這い上がる。テラスでは太ももをパンプさせながら腕をレスト、最後の気の抜けない11a程度の5mのフィンガーを処理して終了という内容だ。トライする毎に身体中の水分が全て蒸発し、喉がカラカラになるような疲労に襲われる厳しいルートだ。

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国内において、これだけ内容の詰まった長いフィンガークラックは非常に貴重なのではないか。 道内でこれまで登られたクラックとしては最難の部類に入るアチャラナータ、是非ともロングナイトの次にでも触ってもらえると嬉しい。

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[GT on Acalanātha]

グレードはロングナイト (5.12b)と比較しても一回り以上の肉体的疲労感、ムーブの難しさを感じたので、暫定5.12dとしておきたい。

 

2021/12追記

再登者が出たようで、その方によるとロングナイトと同じくらいとの事なので、得意不得意はあれど12b-cあたりが妥当だと思われる。

個人的にも、この登攀後にヨセミテなどで登り込んだ経験を踏まえ、今では12b/cあってもcかなという印象だ。

尚、指が異様に太い第一発見者は13aあるかもと言っていたので、指の太さによってもかなり感じ方が変わってくると思われる。

 

 

 

 

【アプローチに関して】

近年、石狩川の増水が5〜8月にかけて厳しく、渡渉が困難という情報をよく聞きます。代替アプローチとして、ロングナイト橋から歩き出し、+50分ほどの膝下程度のブッシュ歩きをこなせば、渡渉ポイントの対岸に辿り着けるので、是非トライしてみてください。銀河の滝Pから渡渉に成功すれば45分程度のアプローチです。(迷うと数時間)

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