層雲峡は天狗の挽臼、ロングナイト を完登することができた。
昨シーズン秋、RP体制に持ち込みつつも、層雲峡の早い冬に登る機会を奪われ、
泣く泣く完登を逃していた名課題。
案の定、北海道の長い冬を越えた体は、シビアなフィンガージャムの感覚をすっかり忘れており、かなり時間を要してしまった。
トライするたびに、身体中の水分が蒸発するかのような苦しさに苛まれるが、登っている時の
高度感、浮遊感といったものが堪らなく痛快な、国内を代表するスプリッタークラックであることは間違いない。
知られている限りでは、今回が第6登とのことだが、もっと登られても良い1本である。国内で、純粋なジャミング能力を問われる5.12以上のクラックは、意外にも、そうないのではないか。加えて、30mというスケールのものとなれば、本当に数えるほどだろう。
オンサイトで初登した杉野保氏によって与えられた5.12bというグレードは少々辛く、いや、トライ当初は絶望的にも感じたが、
いざ登ってみればそんなものなのだろうか。
ボトミングが効くフィンガージャムでのカムセットと、悪い箇所ではレイバックを交えてテンポよく登ることが、この美しいフィンガークラックを登りきるポイントだったかもしれない。