ロングナイト 隣の隣 第2登
(写真: 札幌北稜クラブ 栗山さん提供)
ロングナイトを登りに来る度に、いつも気になっていたこのルート。極細クラック用のギアがなかったのと、オンサイトで触ってみたいとの思いがあり、温めておいたラインだ。
舟生大悟さんがかなり前に初登し、それ以降まともにリードトライがされていなかったようで第2登はでていないらしい。手にしていた情報は、「辛めの11a程度だが、初登者が強いので信用できない」「見た目から明らかだが、途中でクラックが閉じ、激しいランナウトとなる」
といったごく僅かなものだけであった。
ランナウトの距離も分からず、プロテクションも正確なグレードも分からない、このようなルートでは通常リハーサルを行うのが常套手段だが、今回はなぜだが登れそうな自信がある。しかも居合わせた仲間が、ボールナッツを1セットと新品の70mロープを貸してくれると言っている。
何より、このようなルートは一度でもトップロープをやってしまうと、「次にどんなムーブが出てくるか、プロテクションを決められる溝は出てくるのか」といった冒険的側面がなくなり、面白くなくなる。
傾斜も90度〜スラブの得意系であったため、リハーサルなし、オンサイトでトライすることとした。
チョーク跡など皆無の中、何度もムーブを組み立て直したり、極細のクラックに最善の方法でボールナッツをセットしようと無駄な抵抗をしたりと、35mのルートと格闘すること1時間…。
落ちれば確実に15m以上、もしも最終ギアが外れれば20m以上のロングフライトも覚悟しなければならない高度感満載のスラブを最後にこなし、長い長い冒険は無事におわった。
オンサイトでこのルートにトライするという決断ができ、素晴らしい経験となった。