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ポインセノット ウィリアンズランプ Patagonia

by yudaisuzuki

2026/1/18

 

フィッツロイ山群 中央左の二番目に高い山がポインセノット

深夜2時に起き、3時頃テントを出る。パソスペリオールのビバークサイトは雪で覆われ、その先の氷河も脛〜膝まで埋まる程度だ。今日はとても天気の良い予報だが、翌日からはすぐにまた荒れる様子。前日までの雪も相まってか、スペリオールには僕らと他にギリシャの2人組しかいない。聞くと1人は40代で、GIRI GIRI BOYSのファンらしく、デナリのリンクアップやここパタゴニアでの新ルート、懸垂下降での事故の話など、盛り上がる。

 

4人で交代しながらラッセルをし、フィッツロイとポインセノットの分岐まで。傾斜が強くなると胸ラッセルとなるコンディションだ。とはいえ、チャルテンに来て1週間、まだ何もできていないので、とりあえずトライをしたい。フランスからここまで遥々ヒッチハイクしてきたエンゾも、GIRI GIRIファンのギリシャ人も同じ気持ちのようだ。

身長185センチ、24歳のエンゾがブルドーザーのようなラッセルでポインセノットへの急な斜面を横切っていく。ギリシャチームとはここで別れ、好天と健闘を祈る。

やがて雪崩の通り道に差し掛かると、新雪は磨かれ落ち、氷化した60°のトラバースに差し掛かる。僕は軽量3シーズン登山靴にアルミアイゼン、超軽量アルミアックスなので、このパートはエンゾにビレイしてもらうが、トラバースかつ支点がとれないので緊張する。

 

ラッセルで時間を奪われたが、無事に迷わず取り付きへ。ポッターデイビスも登りたかったが、このコンディションだとクラックが濡れていそうなので、下部はミックス壁となるウィリアンランプを選択した。

冬季ブーツにモノポイントのエンゾがミックス壁をリードし、僕が後半のロックパートをリードする戦略だ。

エンゾとはエルチャルテンのホステル(キャンプ場)で出会ったが、いくつも穴の空いたダウンジャケットに使い込まれたキャメロットを見れば、ある程度信頼できそうだなとパッと感じた。おまけにヒッチハイクの途中でペルー・アウサンガテ北壁に寄ったという。僕と成田啓が浸かった温泉で、北壁を見ながら登攀ラインを探り、時期が遅かったので断念したそうだ。

そんな経緯で意気投合し、こうしてポインセノットにトライできることがクレイジーだと2人で話していた。”Climbing connects people in the crazy way”

 

 

ミックス壁にも予想通り、雪が積もり、普段よりは明らかに時間がかかる。同時登攀を交えながら、日本のよくある雪壁ルートを3本ほど登っただろうという地点で、エンゾのリードが急激に遅くなり、「雪が多くて疲れた」と。次のピッチは割と岩要素が強かったので、2ピッチリードを代わり、役割分担。

  

 

その次は3つ星のミックスピッチが2ピッチほど続き、ここはしっかりとしたフッキングなのでエンゾが超えていく。ランプを終えたところで、ルートの性格が変わり、ロックルートとなる。

ここからはトーレ側からの強風が吹き付け、傾斜も増すからか、雪はほとんど飛ばされていた。60mロープでは長すぎるので、少し体に巻いて、できる限り同時登攀で駆け上がる。

 

明るいうちにできるだけ降り、風が吹き荒れる前に懸垂下降を終わらせたい。

ルートがジグザグしていて、ルートファインディングに苦戦しつつも、先々まで見て、躊躇なく登っていく。簡単なところはプロテクションも省き、スピード重視。ここではランナウトより、悪天に捕まるリスクの方が大きいのだ。

 

ジョイフルモーメントを5本登って、左方カンテを3回分ほど登っただろうか。遠くから眺めるよりも長く感じられるロックピッチを2−3時間登ると、狭い山頂に突き上げた。

反対側に突如として現れたフィッツロイの迫力がすごい。

 

エンゾと喜びを分かち合い、タバコを一本吸って懸垂下降に取り掛かる。まだ微風程度で、なんともリラックスした雰囲気の山頂だ。16:40。

 

分かりづらい懸垂下降に難儀しながらも、明るいうちにランプに合流、そして氷河まで降りられた。

帰りもズボズボと埋まりながら、24時、パソスペリオルに戻ってきた。

ギリシャチームはフィッツロイとポインセノットの中間に聳えるラ・シジャに無事登れたようだ。

1日だけの好天をうまく使って、鋭く聳える山に登れ、充実の21時間行動だった。

翌日、爆睡していると、テントが引き裂かれるのではないかという強風に叩き起こされ、耐風姿勢を取りながらトレス湖へと下山した。

 

 

 

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